肝炎の検査って似たような英語の羅列と抗原・抗体の区別があって
何が何だか混乱しちゃいませんか?
そしてそれぞれの臨床的意義覚えろなんて...
基本から要点を挙げますので、形態的に覚えましょう!
ポイント
- 感染すると抗原(Ag)→抗体(Ab)と出現
- 抗体はIgM型→IgG型と出現
- HBV抗体はc→e→sの順に出現
抗体推移(IgM・IgG)
- 抗原が侵入すると最初にIgMが産生
- IgMは一過性(半減期5日)
- クラススイッチ(B細胞)によってIgGが産生
- IgGは長期間にわたって産生される(半減期21日、少しの抗原刺激で産生)
- IgMは感染初期、IgGは感染既往
HBV抗体の語呂(出現順)
抗体(Ab)の出現する順番
HBc → HBe → HBs
*抗原(Ag)はその逆
HBs → HBe →(HBcは検査としてマイナー)
HBV抗原(Ag)の臨床的意義
1.HBs抗原(Ag)
- 確定診断マーカー
- HBVの感染状態
- HBVの表面抗原
- 合成されるのが最も早い→感染初期から検出
2.HBe抗原(Ag)
- HBV増殖マーカー
- 肝炎の持続性(感染力が強い)
- HBVの増殖が盛んな時に放出される可溶性蛋白
*HBV-DNA
- 血中HBV量
- 抗ウイルス療法の効果の指標
HBV抗体(Ab)の臨床的意義
1.HBc抗体(Ab)
a.IgM-HBcAb
- 確定診断マーカー
- 発症初期(IgM)
- 低抗体価:B型急性肝炎時とその後数か月、B型慢性肝炎増悪期
- 高抗体価:B型急性肝炎時
b.IgG-HBcAb
- 発症後期~既往感染(IgG)
- 低抗体価:HBVの過去の感染
- 高抗体価:HBVの持続感染状態
2.HBe抗体(Ab)
- 非活動性(回復期)
- 血中のHBVが少ない(感染性弱い)
- 肝炎例が少ない
3.HBs抗体(Ab)
- 既往感染(治癒)
- 中和抗体(病原体と結合し、感染力・発病力を抑制)
- 感染防御抗体
- ワクチン接種者(特に医療従事者)
国家試験 67回PM88
では実際に国試を解いてみましょう!
検査結果と解釈の組合せで正しいのはどれか.
- IgG型HA抗体陽性 — A型肝炎の発症
- HBe抗体陽性 — B型肝炎の垂直感染性上昇
- HBs抗体陽性 — B型肝炎の感染初期
- IgM型HBc抗体陽性 — B型肝炎の発症
- HCV抗体陽性 — C型肝炎の治癒
解答
- IgG型HA抗体陽性 — A型肝炎の発症 ×:IgGは既往感染
- HBe抗体陽性 — B型肝炎の垂直感染性上昇 ×:HBe抗体は回復期
- HBs抗体陽性 — B型肝炎の感染初期 ×:HBs抗体は既往感染
- IgM型HBc抗体陽性 — B型肝炎の発症 ○:IgMは発症初期
- HCV抗体陽性 — C型肝炎の治癒 ×:治癒の判定はHCV-RNA
答え.4
ゴロみて、ねまれ
院内でのB型肝炎はHBs抗原とHBc抗体、HBs抗体を検査することが多いですね~
HBVはDNAウイルスなんですが、HCV・HAVはRNAウイルスなのでウイルスマーカーもちょっと違うので注意です!
針刺し事故での検査にも関わってくるので、知っておいて損はないですよ~
今回はHBVマーカーの解釈まとめでした。
まだ今度な~(‘◇’)ゞ
出典:第67回臨床検査技師国家試験問題および正答について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp210416-07a_01.pdf
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