HBVマーカーの解釈まとめ

HBVマーカーの解釈まとめ 第67回PM

肝炎の検査って似たような英語の羅列と抗原・抗体の区別があって

何が何だか混乱しちゃいませんか?

そしてそれぞれの臨床的意義覚えろなんて...

基本から要点を挙げますので、形態的に覚えましょう!

ポイント

  1. 感染すると抗原(Ag)→抗体(Ab)と出現
  2. 抗体はIgM型→IgG型と出現
  3. HBV抗体はc→e→sの順に出現

 

抗体推移(IgM・IgG)

  • 抗原が侵入すると最初にIgMが産生
  • IgMは一過性(半減期5日)
  • クラススイッチ(B細胞)によってIgGが産生
  • IgGは長期間にわたって産生される(半減期21日、少しの抗原刺激で産生)
  • IgM感染初期IgG感染既往

HBV抗体の語呂(出現順)

 

(Ab)の出現する順番

   HBc → HBe → HBs

*抗(Ag)はその逆

  HBs → HBe(HBcは検査としてマイナー)

 

HBV抗原(Ag)の臨床的意義

1.HBs抗原(Ag)

  • 確定診断マーカー
  • HBVの感染状態
  • HBVの表面抗原
  • 合成されるのが最も早い→感染初期から検出

 

2.HBe抗原(Ag)

  • HBV増殖マーカー
  • 肝炎の持続性(感染力が強い)
  • HBVの増殖が盛んな時に放出される可溶性蛋白

 

*HBV-DNA

  • 血中HBV量
  • 抗ウイルス療法の効果の指標

 

HBV抗体(Ab)の臨床的意義

1.HBc抗体(Ab)

 a.IgM-HBcAb

  • 確定診断マーカー
  • 発症初期(IgM)
  • 低抗体価:B型急性肝炎時とその後数か月、B型慢性肝炎増悪期
  • 高抗体価:B型急性肝炎時

 b.IgG-HBcAb

  • 発症後期~既往感染(IgG)
  • 低抗体価:HBVの過去の感染
  • 高抗体価:HBVの持続感染状態

 

2.HBe抗体(Ab)

  • 非活動性(回復期)
  • 血中のHBVが少ない(感染性弱い)
  • 肝炎例が少ない

 

3.HBs抗体(Ab)

  • 既往感染(治癒)
  • 中和抗体(病原体と結合し、感染力・発病力を抑制)
  • 感染防御抗体
  • ワクチン接種者(特に医療従事者)

 

国家試験 67回PM88

では実際に国試を解いてみましょう!

 

検査結果と解釈の組合せで正しいのはどれか.

  1. IgG型HA抗体陽性 — A型肝炎の発症
  2. HBe抗体陽性 — B型肝炎の垂直感染性上昇
  3. HBs抗体陽性 — B型肝炎の感染初期
  4. IgM型HBc抗体陽性 — B型肝炎の発症
  5. HCV抗体陽性 — C型肝炎の治癒

 

 

解答

  1. IgG型HA抗体陽性 — A型肝炎の発症 ×:IgGは既往感染
  2. HBe抗体陽性 — B型肝炎の垂直感染性上昇 ×:HBe抗体は回復期
  3. HBs抗体陽性 — B型肝炎の感染初期 ×:HBs抗体は既往感染
  4. IgM型HBc抗体陽性 — B型肝炎の発症 :IgMは発症初期
  5. HCV抗体陽性 — C型肝炎の治癒 ×:治癒の判定はHCV-RNA

答え.4

 

ゴロみて、ねまれ

院内でのB型肝炎はHBs抗原とHBc抗体、HBs抗体を検査することが多いですね~

HBVはDNAウイルスなんですが、HCV・HAVはRNAウイルスなのでウイルスマーカーもちょっと違うので注意です!

針刺し事故での検査にも関わってくるので、知っておいて損はないですよ~

 

今回はHBVマーカーの解釈まとめでした。

まだ今度な~(‘◇’)ゞ

 

 

 

出典:第67回臨床検査技師国家試験問題および正答について(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp210416-07a_01.pdf

コメント

タイトルとURLをコピーしました