Cl(クロール)ってNaとセットに考えることが多くて、
Cl単体に注目することってあまりないですよね?
確かにNaやHCO3–とは酸塩基平衡の面からも
関わり合っていますが、今回は「Cl」の特徴を
じっくり見ていきましょう!
代謝
- 細胞外液で主要な陰イオン(総陰イオンの70%)
- 水分代謝、浸透圧の調整、酸塩基平衡の維持が役割
- 消化機能を担う(消化液中の塩酸:胃液、十二指腸液、膵液、腸液)
- 消化液中に分泌されたCl–は腸管で再吸収
- Na+と平衡して変動する場合が多い(Na+:Cl-≒14:10)
- Na/Cl比が1.4付近でなければ酸塩基平衡の異常を考える
- 血清(基準値:96~108mmol/L)<髄液(基準値:120~130mmol/L)
測定法
①イオン選択電極法(ISE法):一般的方法
- 液体膜電極:第4級アンモニウム塩
- 固定膜電極:Ag/AgCl
- ヨウ素(I–)、臭素(Br–)含有薬剤は正誤差を生じる
- 生化学自動分析装置に搭載
②電量滴定法:クロライドメーター法(銀電極)
- 電極遊出Ag+と試料Cl–が反応しAgClとなり、新たに生じたAg+から求める
- 実用標準物質の値付に利用
③酵素法
- Clを活性化剤とするアミラーゼの初速度測定により定量
- 他のハロゲン元素の影響をほとんど受けない
- コストが高く、ほとんど使用されない
アニオンギャップ(AG)
- 基準範囲:12±2mEq/L
- 代謝性アシドーシスの鑑別に用いる
- 陰イオンをアニオン⇔陽イオンをカチオンという
- 陰イオン成分は固定酸(酸塩基平衡に関与)
- 固定酸は糖質、脂質、蛋白質の不完全燃焼によって生じる
- 内因性固定酸:ピルビン酸、乳酸、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、リン酸、硫酸
- 外因性固定酸:サリチル酸
Clが変動する病態
国家試験 66回AM35
では実際に国試を解いてみましょう!
クロールについて正しいのはどれか.2つ選べ.
- 約90%が細胞内に存在する.
- 蛋白質との結合型が存在する.
- 嘔吐により血中濃度が低下する.
- α-アミラーゼの活性中心に含まれる.
- アニオンギャップ値の算出に必要である.
解答
- 約90%が細胞内に存在する.×:細胞外
- 蛋白質との結合型が存在する.×:結合しない アルブミン結合成分の語呂
- 嘔吐により血中濃度が低下する.○:胃液にCl–
- α-アミラーゼの活性中心に含まれる.×:Cl–は活性化剤.活性中心はCa2+
- アニオンギャップ値の算出に必要である.○:Na+-(Cl–+HCO3–)
答え.3,5
おべで(憶えて)、ねまれ
クロールだけでも、結構覚えること多いですよね(;”∀”)
意外なところだとアミラーゼの活性化因子!
これが活性中心のCa2+やALPの活性中心やCKの賦活剤と
ごっちゃに混ぜられて出題されますので、
しっかり区別して覚えましょう!
今回はクロール(Cl,塩素)まとめでした。
へば!!(‘◇’)ゞ
出典:第66回臨床検査技師国家試験問題および正答について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp210416-07a_01.pdf
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