血清蛋白はそれぞれ固有の荷電をもち、
電気泳動と電気浸透現象により、
アルブミン(Alb)、α1、α2、β、γ の5分画に分離されます。
それぞれの分画の濃さによって、
様々な病態が特徴的なパターンを示します。
しかし!臨床的に蛋白分画が必須になるのは
M蛋白血症です!!
他の分画パターンは補助的なデータということですね。
ここではM蛋白血症の分画パターンを中心に、
その他の特徴的なパターンに触れていきます。
正常型
- Alb分画:アルブミン
- α1分画:α1-アンチトリプシン,α1-リポプロテイン,α1-アシドグリコプロテイン
- α2分画:セルロプラスミン,ハプトグロビン,α2-マクログロブリン,α2-リポプロテイン
- β分画:トランスフェリン,ヘモペキシン,補体C3・C4,β-リポプロテイン
- γ分画:IgG,IgM,IgA,IgD,IgE,CRP,フィブリノゲン(通常出現しない)
M蛋白血症型
モノクローナル(M)蛋白血症
腫瘍性に増加した単クローン性の免疫グロブリン(主にIgG,IgM)。
単クローン性の増殖のため、Alb分画のようなシャープなMピークが検出。
代表的な疾患
- 多発性骨髄腫:悪性
- 原発性マクログロブリン血症:悪性
- 単クローン性γ-グロブリン血症(MGUS):良性
- 重鎖(H鎖)病:良性
多発性骨髄腫は骨髄腫瘍がM蛋白(IgG,IgA,IgD,IgE,Bence-Jones)を産生。
原発性マクログロブリン血症は 形質細胞様リンパ球がIgMを産生。
肝硬変型
- β-γブリッジング:β分画とγ分画の境界が不明瞭(γグロブリンの増加)
- 慢性肝障害、肝硬変、膠原病
- 肝線維化に伴って顕著となる
炎症型
- 炎症で増加する蛋白はα1・α2分画に存在
- 急性炎症:感染症、外傷、心筋梗塞
- 慢性炎症:慢性感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患
- Alb、トランスフェリンは炎症時に低下するが動態はかなり緩慢なため、反映されにくい
ネフローゼ型
- ネフローゼ症候群は高度の蛋白尿となり血清蛋白量が低下
- 低蛋白を補うため肝臓での蛋白合成が亢進
- 高分子蛋白のα2-マクログロブリンは尿に排出されにくいため増加
国家試験 66回AM36
では実際に国試を解いてみましょう!
血清蛋白泳動分画(別冊No.5)を別に示す.
この患者の血清中に増加が考えられるのはどれか.
- アルブミン
- α1-アンチトリプシン
- リポ蛋白
- トランスフェリン
- IgG
解答
- アルブミン ×:⊕極に移動するのがAlb
- α1-アンチトリプシン ×
- リポ蛋白 ×:おそらくα1・α2-リポプロテインのこと⇒α1・α2分画
- トランスフェリン ×:β分画
- IgG ○:⊖極側のγ分画(他にIgM,IgA,IgD,IgE,CRP,フィブリノゲン)
答え.5
おべで(憶えて)、ねまれ
はじめにもありますが、重要なのは
M蛋白血症です!!
またそれぞれの分画で増減の特徴があっても
分画ごとに複数の蛋白が存在します。
個々の蛋白異常を調べる場合は定量検査が必要です。
分析に必要な試料、用途も覚えましょうね~
⇒セルロースアセテート膜,バルビタール緩衝液(pH8.6,イオン強度0.05)
⇒ポンソ3R染色液,酢酸溶液(脱色),デカリン(透明化液)
今回は蛋白分画パターンまとめでした。
せば、まだな~(@^^)/~~~
出典:第66回臨床検査技師国家試験問題および正答について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp210416-07a_01.pdf
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