蛋白分画パターンまとめ

蛋白分画 第66回AM

血清蛋白はそれぞれ固有の荷電をもち、

電気泳動と電気浸透現象により、

アルブミン(Alb)α1α2βγ の5分画に分離されます。

それぞれの分画の濃さによって、

様々な病態が特徴的なパターンを示します。

しかし!臨床的に蛋白分画が必須になるのは

M蛋白血症です!!

他の分画パターンは補助的なデータということですね。

ここではM蛋白血症の分画パターンを中心に、

その他の特徴的なパターンに触れていきます。

 

正常型

  • Alb分画:アルブミン
  • α1分画:α1-アンチトリプシン,α1-リポプロテイン,α1-アシドグリコプロテイン
  • α分画セルロプラスミン,ハプトグロビン-マクログロブリン,α-リポプロテイン
  • β分画トランスフェリン,ヘモペキシン,補体C3・C4,β-リポプロテイン
  • γ分画:IgG,IgM,IgA,IgD,IgE,CRP,フィブリノゲン(通常出現しない)

 

M蛋白血症型

モノクローナル(M)蛋白血症

腫瘍性に増加した単クローン性の免疫グロブリン(主にIgG,IgM)。

単クローン性の増殖のため、Alb分画のようなシャープなMピークが検出。

 

代表的な疾患

  • 多発性骨髄腫:悪性
  • 原発性マクログロブリン血症:悪性
  • 単クローン性γ-グロブリン血症(MGUS):良性
  • 重鎖(H鎖)病:良性

 

多発性骨髄腫は骨髄腫瘍がM蛋白(IgG,IgA,IgD,IgE,Bence-Jones)を産生。

原発性マクログロブリン血症形質細胞様リンパ球がIgMを産生。

 

肝硬変型

  • β-γブリッジング:β分画とγ分画の境界が不明瞭(γグロブリンの増加)
  • 慢性肝障害、肝硬変、膠原病
  • 肝線維化に伴って顕著となる

  

炎症型

  • 炎症で増加する蛋白はα1・α2分画に存在
  • 急性炎症:感染症、外傷、心筋梗塞
  • 慢性炎症:慢性感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患
  • Alb、トランスフェリンは炎症時に低下するが動態はかなり緩慢なため、反映されにくい

 

ネフローゼ型

  • ネフローゼ症候群は高度の蛋白尿となり血清蛋白量が低下
  • 低蛋白を補うため肝臓での蛋白合成が亢進
  • 高分子蛋白のα2-マクログロブリンは尿に排出されにくいため増加

 

国家試験 66回AM36

では実際に国試を解いてみましょう!

 

血清蛋白泳動分画(別冊No.5)を別に示す.

この患者の血清中に増加が考えられるのはどれか.

  1. アルブミン
  2. α1-アンチトリプシン
  3. リポ蛋白
  4. トランスフェリン
  5. IgG

 

 

解答

  1. アルブミン ×:⊕極に移動するのがAlb
  2. α1-アンチトリプシン ×
  3. リポ蛋白 ×:おそらくα1・α2-リポプロテインのこと⇒α1・α2分画
  4. トランスフェリン ×:β分画
  5. IgG 極側のγ分画(他にIgM,IgA,IgD,IgE,CRP,フィブリノゲン)

答え.

 

おべで(憶えて)、ねまれ

はじめにもありますが、重要なのは

M蛋白血症です!!

またそれぞれの分画で増減の特徴があっても

分画ごとに複数の蛋白が存在します。

個々の蛋白異常を調べる場合は定量検査が必要です。

分析に必要な試料、用途も覚えましょうね~

セルロースアセテート膜,バルビタール緩衝液(pH8.6,イオン強度0.05)

ポンソ3R染色液,酢酸溶液(脱色),デカリン(透明化液)

 

今回は蛋白分画パターンまとめでした。

せば、まだな~(@^^)/~~~

 

 

 

出典:第66回臨床検査技師国家試験問題および正答について(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/dl/tp210416-07a_01.pdf

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